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「いや~祭りだねぇ!!」
この街唯一の神社。意外と広くて、学校のグラウンドぐらいはある。
屋台が並び、その灯りが夜の闇を明るく照らしている。
どこかの子供が、親に綿アメをねだっている。
「なあ古市。どこいく?」
「え?……そうだなあ……」
焼き鳥に惹かれるけど…遊びに来て焼き鳥ってどうなんだ?イカ焼きも…駄目だな。あっちの籤引きは趣味じゃない。………となると……
「アレにしねえ?」
[金魚すくい]
「ま、無難だな。」
「無難だろ?」
二人が近くに寄った時、ちょうど親子連れがはけた。
「すいません!いくらですか?」
「はい、いらっしゃい!一つ200え……んぁぁあ!?」
そこには、短パン、ランニング姿で鉢巻きを締めた神崎がいた。
「あ、神崎。」
「神崎さんだろうが男鹿!呼び捨てにすんじゃねえ!!」
「か…神崎先輩、なぜここに!?」
「あぁ…!?」
神崎は金魚の水槽に突っ込んでいた片足を上げた。
「いや、一匹死んだぞ?」
一匹の金魚が仰向けにプカプカ浮いている。
「知るか!!」
「ま、まあ二人とも…子供が怖がってるじゃないですか!」
神崎の店を中心に、ドーナツ化現象が起きていた。泣き出す子供もいる。
「ちっ……まあいい。今日は神聖な祭りだしな……ウチの組も商売上がったりでな。こういう縁日の屋台が大切な収入源になるんだが……人手が足りなくてな。息子の俺ですら駆り出されて……総動員よ。」
神崎はクーラーボックスからヨーグルッチを取り出し、飲み始めた。
「よーするに……」
男鹿が呟く。
「貧乏人?」
「………ゴラァ!!もいっぺん言ってみやがれ!!」
「まあまあ!!落ち着いて!!」
また金魚が二匹死んだ。
「クソ野郎ども…で!?やるのか?やんねえのか!?」
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