男鹿と古市の夏祭り

5/12

14人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「やるに決まってんじゃないですか、先輩。」 古市はお金を渡す。 「おらよ。」 ポイと、ボウルを渡される。 「よし。じゃあ……と。」 隅の方に三匹いる。とりあえずそこを目標にする。 「よっと。」 水面を掠めるようにして、一匹目を入手。続いて二匹目。三匹目もなんなくゲット。 「古市……上手いな。」 「お前と違って、手先だけは器用でね………あぁ!?」 破けた。 合計五匹。なかなかの腕前だ。 「ありがとよ。で?てめえは!?」 「聞くまでもないだろ。」 二百円を放り投げる。 「ざけんなよ…」 神崎も道具2つを投げつける。 「……よし。あれだな。」 半分死にかけの金魚がいた。 「おりゃあ!!」 下からすくいあげた。 当然、ポイは破ける。 「な…なんでだ!?」 「いや、力任せにしても……」 「もいっぺん!!」 「……あいよ。」 神崎がニヤニヤしながらお金と道具を交換する。 「あれだ、俺に足りないのは気合いだ!!」 「絶対違う。」 古市が冷静に突っ込む。 バシャーン!! 「あ゛あ゛あ゛!!また破けた!!二回分くれ!!」 「クックック……おら、二枚。」 「ああクソが!!」 「おら。」 「またかよ!!」 「ほれ。」 「古市!金貸せ!」 「は!?」 「プッ…ほら二枚。」 そんなやり取りが続き、既に2000円を消費した。 「……集中!!」 「ほーら。これでダメだったら諦めな。」 金額的にも最後の一枚。 「………ふん!!!」 思いっきり力を込める。 だが…マズい事に、男鹿に釣られてベル坊も力を込めてしまった。 パリっと電流が走る。 「あ」 古市が離れた。 「ぎゃあああああ!!」 「うごおおおお!!」 神崎は気絶し、水槽の金魚はみんな、腹を上にして浮いた。 男鹿は呆然としていた。 ゆっくりと古市の方を振り向き、 「……てへっ」 「てへっ…じゃねえよ!!どうすんだよ!!」 「………」 男鹿は自分の払ったお金を神崎のポケットから回収した。 「…………逃げるぞ!」 「マジか!?」 二人は急いでその場を離れた。 男鹿が古市に尋ねる。 「次どうすんだよ?」 「そうだな……」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加