男鹿と古市の夏祭り

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「いいんです。これだけ売ってれば一つぐらい…それにどうせもうすぐ、ラムネ屋のアルバイトですから」 夏目は腕時計を見た後、綿アメ屋と書かれた前掛けを外した。 「バイトしないと、お金足りませんから」 「はぁ…?」 「では」 夏目は控えの店員と変わり、スタスタとラムネ屋に向かった。 「……まいっか」 綿アメを食べる。甘くて美味しい。 「ん?お主…」 ちょうど金魚すくいの屋台と綿アメ屋の間にある、お好み焼き屋の前で、ヒルダと鉢合わせした。 「一人で何をしておるのだ?」 「くっ…」 なんとなく、「一人」というワードが刺さる。 「別に!?祭りを楽しむのが悪い!?」 「いや、別に悪いとは一言も言っておらぬが…」 その時、背後から爆発が聞こえた。 「!?」 金魚すくい屋に雷が落ちたようだ。その音とほぼ同時に二人の男が離れていった。 「何があったの!?」 邦枝はヒルダに綿アメを渡し、金魚すくい屋に駆け寄った。 残されたヒルダは 「…………」 手に持った綿アメをまじまじと見つめ、 「…………………美味しい」 食べた。 「何があったんで……うわ!?」 金魚は全てプカプカと浮かび、何か香ばしい匂いがしている。 そして店員を見て驚いた。 「神崎!?」
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