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その日は突然だった。
「く、クビ!?」
とある女性が、会社内で響かんばかりにその言葉を発した。
「しょうがないでしょ……。
ここ不景気続きだし。
それに君、変な噂があってこれ以上置いといたら、ここ潰れちゃうんだよ」
上司が女性にクビの理由を大雑把な説明する。
ある言葉が引っ掛かった。
「なんの噂ですか!」
「簡単に言うと、君が誰かに内部事情をバラしているって事だよ!」
キレたいのは女性の方なのに上司が先にキレる。
「意味分かりません!!」
「それでも決定事項だから!
明日から来なくていい!
分かったか!」
無理矢理に近い状態で押し付けられ、部屋を追い出されてしまった。
「そんな事……知らないのに……」
今にも泣きそうな掠れる声。
明日からと言うことは、今日は片付けろと言うことだ。
仕方がなく、自分の部署へと戻ろうとした時、
「あれ? どうしたの?」
誰かが女性に声を掛けてきた。
「克信……」
公園のベンチで克信という男性に全てを話した。
「そうなんだ」
「うん……」
静まり返る中、突然克信が、
「悪い、それ俺だ」
笑いながらそう言った。
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