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「くだらないわ……」
呆れたように言うも、正直泣きたくなる。
男の噂で会社を追い出され、今度は少年の噂で社会に追い出されるのかと。
「そういえば、お姉さん、名前は? いくつ?」
女性は少年の無邪気な笑顔が無性に腹が立つ。
「アンタこそ誰よ!」
「お姉さんが名前を言ってくれたら言う♪」
「……理美、嘉村理美!
それと女性に年齢訊くな!」
「もう、そんな歳なの?」
「ちがーう! まだ27じゃー!」
「へぇー♪ 意外と素直だね♪」
理美は今まさにやられた。
少年の言葉に惑わされ、つい自分の年齢を話してしまった。
「わ、私の名前言ったでしょ! ほら、次はアンタよ!」
「どうしよっかなぁ♪」
「言いなさい……!」
「住まわせてくれたら言う」
可愛らしく甘えた声で理美に言う。
「ダメよ!」
「じゃあ世間様に……」
イタズラな小悪魔の顔になり、理美を脅す。
しばらく理美は考えに考えを巡らせ、出た答えが、
「分かった……」
これだった。
本当は住まわせたくないし、失業してしまった以上、もっと安い家賃を捜さなくてはいけない。
だが、この少年は絶対世間にばらす。
しかもありもしない余計な話さえもでち上げられそうだ。
失業と家賃がない以上、追い出される事になるであろう話を話さずに許した。
「案外、頭良いんじゃん♪
それとも何か企んでる?」
やはりムカつく奴で頭のキレる奴なのは間違いないようだ。
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