南心地

2/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
―南心地―  夏、炎天下には淡く染まる空色の海が広がり、白く輝いた砂浜が憩いの広場を作り上げている。  照り付ける陽光に肌の日焼けを感じながら爽快に海へ飛び込む若者、はしゃぎながら無邪気に砂浜でお城を作る子供が見え、賑やかな今日を奏でている。砂浜後方では色とりどりの海の家が多種多様の商品を売り、海の幸をふんだんに取り入れた海鮮料理などを振舞っていた。湿った空気が、漂う美味しそうな匂に染ま り、五臓六腑に染みわたる。  近今、テレビや雑誌で人気が出てき始めたアイドル、柏木新一はそんな楽園のようなビーチで一人、その雰囲気を味わっていた。  アロハTシャツに海水パンツを穿いている。ブロンド色に染まった長めの髪は太陽の光に反射されてより明るく光っていた。身長が高ければ足も長い。甘い笑顔で評判のその顔はサングラスで眼が隠れていたが、全体的に綺麗に整っていて、化粧などしなくてもかなりの麗人である。スリムでありながら肉体派を思わせ る新一の体躯はいらない脂肪を取り除き、筋肉だけが程よく付いていた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!