定無燈炎

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そこに広がる景色は懐かしさと哀しさを私に与えた… 「何年ぶりかしら…ね?」 ここに来て最初に驚いたのは人の多さだった、そして想い地に近付くにつれ更に人が多い事を知った。 「随分と変わってる…あの白くて四角い建物…」 かつての私が知る建物とは風情が全く異なる事にも気付き少しだけ罪悪感も抱いた… 「人は……ここまで……」 懐にある一欠片の氷を握り締めて私はため息と同時に深呼吸をする。 「ここは……他に比べて随分と暑い……」 事の重大さをその身に感じながら…そしてこれも定めなのかと考えてみる。 「でも……それでも私は……」 どうしても納得が出来ない…出来るはずがない… 私はもう一度、深呼吸をしながら氷石を握り締めそれを見つめる。 「…少しだけど小さくなってる…あの時と比べものにならないぐらい……多めに持ってきてよかった……」 今の状態を漠然的にも知っているとはいえ、この消費の激しさは正直に驚いた… 「三ヶ月が限界かな…大丈夫だと思うけど…でもなるべく早くしないと…」 私は見慣れない景色の中にある、かつての面影を少しずつ見つけ、そしてそれをたぐり寄せるように目的地へと向かっていく…… ただ一つだけ…我が子達へ想いと共に…… 「…今……いくから……」
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