―悲劇のヒロイン―

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祖父は秋田でも有名な果物屋とカフェの経営者だった だが 母が私を出産した年に倒産している 負債額 一億 当時の新聞にもデカデカと『倒産』の文字が掲載された 執拗な取り立て 近所からの白い目 下らない噂話 過去の栄光 そんな重圧を抱えきれなかった祖父 その怒りの矛先は私に向けられた 毎晩、酒を飲んでは暴れ 追いかけ回され 叩かれ蹴られ 汚い言葉で罵られ ダスキンモップの柄の部分で腹を小突かれ 弟は紐で両手両足を縛られた 毎日夜が来るのが恐かった 母は子育てだとか教育に意欲が無く 夜に成ればホステスの仕事へ そして 休日も男と遊び歩いていた だから助けてくれる人なんて居なかった 祖母も私と弟に対して汚い言葉を散々吐いた 勉強が出来ない私は更に標的にされた 更に親戚の叔父や叔母までも私と弟をイジメ始めた まさに生き地獄 たまに母が帰って来たかと思えば必ず隣に見も知らない男の人が居た 一瞬も気が休まる日なんて無かった
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