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「まぁとにかく助かったよ、サンキュー」
ジェスチャー付きで感謝を述べられた。少しオッサンくさいと思ってしまったよ。
「いえいえ。ていうか、その口調がホントのサヤさん?」
最初の時はもう少し口調が女の子らしい感じだったのに、今は凄く男の子っぽい感じだ。
「あぁ、俺人見知りなんだ。初対面だとつい猫被っちゃうんだよな。そうしてれば可愛いから何しても大体許されるんだ」
てへ、というサヤさん色んな意味で猫っぽいなと思う。自分勝手でも好かれるのがわかってるんだ。
「……良い性格してるよサヤさん」
「ありがとう」
……誉めてないんだけどな。いたずらっ子ぽくサヤさんは笑う。こんな顔をされたらどんなことをしても許してしまいそうだ。
「まぁ暫くはこの街にいるつもりだから、また会うことがあったらよろしく。助かったよ、じゃーな」
バイバイと付け足してサヤさんは去ろうとする。
「ちょっと待って!」
俺はついひきとめる言葉を投げ掛けてしまった。
「寝るところにあてはあるの?お金がないのにご飯はどうするの?てかこの街に女の子一人じゃ危ないよ!」
ここで別れたらもう二度と会えない気がする。何故かそう思った。正直必死だ。
「はは、お前は俺の母親か?俺をどうしたいんだ?」
そりゃごもっともだ。家に来ない?いやそれじゃさっきの不良と同じだ。どう考えてもゲスの台詞だ。何かないか何か……
「もう、ちょっとライーー!何時までかかるのよ!カレー冷めちゃうよーー!」
待ちくたびれアリアが文句をたれている。ん?カレー……
「そうだ!カレー食べたくない?」
我ながら名案だと思った。健全で腹が減っているであろうサヤさんにもいい話のはずだ。
「……?カレーって何だ?」
しかしサヤさんは予想外のリアクションを返してきた。
「カレー知らないの!?あんなに美味しいものを!?」
「知らない。」
何て事だ。あんな美味しい食べ物を知らないだなんて。サヤさんを引き留める事よりカレーの素晴らしさを伝えたくなってきた。
「カレーを食べたことないだなんて、人生損してるよ!もう絶対食べなきゃ駄目!アリアのカレーは絶品だから!行こう!?アリア、一人位増えても大丈夫だろ!?」
「……別にアンタ一杯食べるからって沢山つくってるからいいわよ」
「だってさ!いこサヤさん!」
「ちょっと、おい……」
戸惑うサヤさんを強引に連れていく。
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