三枚目

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目をさますと、見慣れた天井が視界に入った。 外を見てみるに、本日も晴天なり。のびをして、ベッドから出る。 窓を開けて、新鮮な風を室内に送り込む。いつも通りの代わり映えのしない風景。 「おはよう、ライ」 「おはようサヤさん、昨日はよく眠れた?」 しかし、いつもとは確実に違う風景もあった。 隣の家の窓からサヤさんが顔を覗かせていた。 昨日サヤさんは俺らにカレーを食べに連れてかれ(拉致られ)たアリアの家。 そこでサヤさんはアリアのお母さんにえらく気に入られて、泊まる所もお金もない事を知ったお母さんに家に泊まればいいと言われ昨日はアリアの家に泊まった、というのが昨日の流れだ。 「ああ、マトモな所で寝たのは久しぶりだったからな。ご飯も美味しかったし、久しぶりに良い夢みれたよ。アリアもおばさんもいい人だし」 「そりゃあ良かった」 「でも昨日はアリアが色んな服を着させようとして、夜遅くまで大変だったよ。俺は着物じゃないと落ち着かないってのに」 「それはそれは……」 苦笑する。アリアは可愛い物に目がないからなぁ。 昨日、遅くまでカワイイカワイイと言うアリアの声が聞こえてたのを思い出す。 「まぁアリアが可愛いかったからいいんだけどさ。それよりライ、今日は仕事なのか?」 「いや、今日は休みだよ?」 色々と疲れてるだろうという編集長の配慮で今日は特別に休みだ。 「ホントか!」 それを聞くとサヤさんは少し声を弾ませた。 「なぁ、昨日アリアが街を案内してくれるって約束してくれたんだけど、もしよかったらライも一緒に行かないか?皆一緒のほうが楽しいだろ?」 断る理由はない。どうせ写真を撮りに出掛けるつもりだったし。 なによりサヤさんと一緒にいられるのは俺にとって喜ばしい事だ。 「いいよ、喜んで」 俺は快諾した。 「決まりだな!」 それを聞くとサヤさんはニッと笑って、勢いよく下の部屋に降りていった。 「アリア、金ズルゲットしたぞ!」 「やったねサヤ!アイツ金はあり余ってるから好きなもの買ってもらっちゃえ!」 「オイ!?ちょっと待て!?」 二人の声が俺の家まで聞こえてきた。姿は勿論見えないがハイタッチしてる二人の姿が見えた気がした。 いや仲良くなるのはいいんだけど……まぁいいや。 今日は騒がしい事になりそうだ。 取りあえず、財布の中身を充実させておこうと思った。 ――――――――――――――
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