三枚目

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―――――――――――――― 「ライー!遅いよー早くー!置いてっちゃうよー?」 アリアとサヤさんが楽しそうに俺の前を並んで歩いている。 「ちょっと……待ってくれ……お前ら……人の金で色々と買いすぎだろ!ていうか少し位自分達で持ってくれ!」 俺の手には両手でも足りない位の紙袋の数々。 「何だ貧弱だな、男ならその位軽々持て」 そう、所謂パシリである。情けないが、金ズルの名に違わない働きっぷりを俺は見せていた。 街を案内するといって俺達が真っ先にやってきのは何でもそろうと評判の商業区。 ここでは出店を出している人達がいたり、有名なブランドが商店を出している。服や装飾品や武器や魔法具でも何でもござれだ。 自分のお金ではない女子の買い物力ってのは凄まじい物で、実用品、可愛らしい服、装飾品、そんなもの要るのかと言いたくなるよくわからない物まで、とにかく色々と買っていった。 アリアはサヤさんに似合う物を見つけては買いまくっていたし、サヤさんは見るもの全て珍しいのか、目についた物を買いまくる。 そしてこれが全て午前中に買われた物なのだから恐ろしい。多めに持ってきた財布の中身は早くも降伏寸前だ。 「アリア、俺腹減った。何か食べたい」 「私もお腹空いたな。もうお昼だもんね~」 知らない人には姉妹に見られるんじゃないか?と感じさせるほど仲良くなっている二人。 どちらも可愛いのですれ違う男共は皆振り向いている。そして俺を見るなり不憫そうな眼を向けてくる。そんな眼でみるなと言いたい。 ちょっとした優越感もあるから別にいいのだが、流石に疲れた。紙袋で前が見えなくなる前にそろそろ何とかしてほしい。 「じゃあ美味しいものを食べに行こう!クレープって知ってる?」 どうやら買い物は一旦やめてクレープを食べに行く事になったようだ。 「知らない、それ美味しいのか?」 「うん、色んな味があって凄く美味しいんだから!さぁいざ行こー!!」 正直助かった。休める。何とかギリギリ俺の視界は確保されそうだ。 「楽しみだな。あ、これ可愛い……ライ!これ買ってくれ!」 そう言ってサヤさんが示した物はとても大きい熊のぬいぐるみだった。 「もう何でもこーい!」 俺はもう半ばやけになっている。 「ありがと!オッチャンこれくれ!」 「毎度」 勘定を済ませサヤさんが俺に熊をのせる。俺の視界が熊で埋まった。
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