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「いやー美味しかったねサヤ!味はいいし、これでもかって位クリーム乗っけてくれたし、もうあの店はご贔屓にしなきゃね!」
「そーだな。チョコってやつのも美味しかった。この街は見たことないものでいっぱいだな」
「はは……残さず綺麗サッパリ金使いきりやがった……いっそ清々しいな……」
何かつやつやしてる二人を尻目に俺のテンションは下降しぱなっしだ。
まさかクレープにあんなに金を使われるとは思わなかった。アリアの「甘い物は別腹なの!」とは過言ではなかったな……
しかも俺は食ってねーし……腹減ったなぁ。
商業区を後にした俺達は自由区にやって来た。
自由区とは実績はないがこの街で活躍したい人達がパフォーマンスをしたりする所である。
商業区などと違い街の保証などはないが、場所代がかからないので金のない夢がある人達が多く集う場所だ。
ここで実力を認められてスカウトされ初めて他の活躍できる区画に行けたりする、いわば金の卵が集う場所だ。
しかしここで商売されてる物は偽物や盗品なども扱われている事もあり、買う側も疑いをかけているので商業区などよりは儲ける事はできない。だから実力が全てのパフォーマーなどが比較的多い場所だ。
やる事は基本自由に任されているので、色んなのが見られる結構楽しい所だ。
絵描き、彫刻家、魔獣使い、サーカス一団、武術家など。
「おうライ、相変わらずシケたツラしてんな!」
そしてそれは俺の親友も例外でなくここで頑張っている。
いかにも元気そうな声をかけてきたのは俺の親友のジル。
金髪を短く揃え、長身で細身だが無駄のない筋肉。そして甘いマスク。アリアと俺の幼なじみでもあり、悪友だ。
「そうもなるわ……この両手一杯の買い物袋を見てくれよ、どう思う?」
「うーん、休みの日に好きなもん一杯買えてハッピーって感じ?」
「自分のだったらな」
顔を振ってアリアとサヤさんに視線を向ける。
二人を見たジルは意味がわかったのか、「違いねぇ!」と豪快に笑った。
「アリアの隣のやつは誰だ?見ねぇ顔だけど」
「サヤさんっていうんだ。昨日ちょっとあってな。街に来たばっかりっていうから案内してるんだよ」
「案内かそれ!?サービスよすぎねぇ!?」
ジルが買い物袋を見て笑いながら言う。
「可愛い子に買ってあげるのに理由がいるか?」
皮肉を込めて言う。
「違いねぇ!」
また同じように豪快に笑い飛ばされた。
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