二枚目

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「だそうだ……ライ、どうしてあんなことをした?」 「……そりゃあ、絶好の被写体があったらそこに飛び込むのがカメラマンってもんでしょう」 そう言うと、編集長ははぁ、とため息をついた。 「半人前がいっちょまえな口をきくんじゃない。どんな簡単な仕事だろうが、それをしっかりやれる奴が正当な評価をされるんだ。与えられた仕事を全うせずに独断行動する……お前のやってる事は、只の自己満足だ。これを何回俺に言わせれば気が済むんだ?」 「……」 返す言葉もない。何回もヘマをする俺を、めげずに叱ってくれる。俺は幸せ者だと思う。 だからこそ、俺は早く一人前になって、良い写真をとって恩を返したい。 「俺たちにとって大事な事はなんだ?言ってみろ」 「……チームワークです」 「そうだ。俺達の出版社のような小さい出版社だと特にな。お前の遅れが皆の迷惑になる」 「はい……」 「お前の写真、俺は嫌いじゃない……アイツに早く追い付きたいって気持ちは解る。でもな、焦るな。しっかり、やることをやれ。それがアイツに追いつく一番の近道だ」 「……はい。」 はいとしか言えない。正論だ。 「……今回は不問にしておいてやる。それがどういう事だか、よく考えろ。以上だ」 そう言うと編集長はしっしと俺を追い払う素振りをし、煙草に火をつける。 「……失礼します」 おとがめがない。優しさが申し訳ない気持ちを強くする。 「……あぁそうだ、最後に1つだけいいか?」 「何ですか?」 「なんで倒さなかった?一般兵士6人位、お前なら一瞬だろうが?」 「そんなの単純ですよ……」 誇りある俺の仕事。 「俺はカメラマンですから!写真を撮るのが俺の仕事です!」 「単純だな……まぁしっかりやれよ」 編集長は大きく煙を吐き出し、少し笑った。
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