二枚目

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俺が住む大陸最大の街、中立都市クレイドル。 北には大陸最大の領土を持つケーニヒス帝国、南には魔法が発展しているアルストリア皇国、東には独自の文化が特徴的な雨宮国、西には深く精霊を信仰するメルフィス精霊国をようする。 その四国の中継地としてこの街は貿易を中心として発展してきた。クレイドルはどこの国の領土でもない。自由貿易の利潤は相当な物で、クレイドルが発展するのにそう時間はかからなかった。 街を照らす光は夜になれども消える事はない。 あらゆる人、文化、技術、物。揃わない物はないと言われるほどこの町には人が溢れ、物が溢れ、金が溢れる。そして、人の欲望も。 そんな一人一人がないがしろになりやすいこの街で俺は毎日写真を撮っている。この混沌とした街で、写真の力がどの位影響を及ぼすかも解らない。でも俺は毎日写真を撮っている。 街が大きく発展するたびに、街を覆う影も大きくなる。この街で事件が無くなる日はない。一言で言うならば、刺激的な街だ。 行き交う人を写真に収める。来月はこの街ができて50周年の記念式典がある。人々は祭の準備で大忙しだ。人々は活気に満ち溢れている。良くも悪くも、沢山の人のエネルギーのある街が、俺は好きだ。 あらゆる物が凄まじい早さで変わっていくこの街では、人はしっかり見なくてはいけない事から目をそらしがちだ。だからこそ、俺はしっかり自分の目でみて、人々に訴えかける写真を撮るべきだと思っている。 「あ、ライ!無事だったんだ!帝国に捕まったって聞いて、皆心配してたんだよ!」 「おう、アリアか。心配かけてすまんかったな。見ての通りピンピンしてるよ」 近所に住む俺の幼なじみのアリアが俺の姿を見るなり離れた所声をかけてくる。 「あんたのバカみたいに丈夫な体なんて誰も何の心配もしてないってー!フェデリコさんとかが心労で倒れちゃわないかってほうの心配だよー!」 「軽くひでぇ……」 「どーせまたあんたの自業自得なんでしょ?」 「まぁそうだけどさ……」 親しい間柄の軽い調子の会話。アリアには何でもお見通しか。 長いウェーブのかかったら赤い髪をなびかせてアリアが近づいてくる。青い大きな瞳が俺の顔を覗く。 「でも、お疲れさま。お帰りなさい!」 「ただいま」 満面の笑みを向けられる。少しこそばゆい気もするが嫌な気持ちにはならない。 中立都市クレイドル、ここで俺は生きている。
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