二枚目

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不良共よりワンテンポ遅れてアリアが口を開く。 「ちょっとライ!らしくないんじゃないの!?」 「あぁ、それは自覚してる。何でだろうな」 普段の俺ならばこういう場面は穏便にすまそうとするはずだ。自分で自分が解らなくなる。 それは多分彼女のせいだ。彼女の雰囲気に興奮しているのかもしれない。 ……何か変態みたいだな自分。 「君、名前は?」 俺が突然乱入してきた展開についていけていないのか彼女はキョトンとしている。ナイフの切っ先を誰に向けるべきか迷っているようだった。俺が声を掛けるとハッとした様子で答えた。 「あ……サヤだけど……」 始めて彼女は口を開いた彼女の声は、見たまんまの柔らかい感じの声だった。 「サヤさんか、良い名前だね。とりあえず、ナイフを仕舞って。すまないけど、俺のエゴでコイツ等を黙らせる」 「何で?貴方が危ないだけじゃない」 理由のない手助けに疑問を感じているのだろう。軽蔑に近い意思を俺に向けている。 「だから、俺のエゴだって言ってるだろ?もし喧嘩する相手がとられて納得がいかないなら、俺がアイツ等ぶちのめした後に君が俺をぶちのめせばいい」 「……別に喧嘩したいわけじゃない。でも、そんな事をして貴方になんの利益があるの?」 ムッとした顔で彼女は言う。 「もう利益はあるから」 「え?」 「君の写真、撮らせてもらったから。撮影料としてアイツ等ぶちのめすのが報酬……って事で納得してくれないかな?」 「……」 彼女は少し考えて、そして少し笑った。 「貴方、面白いね。何の関わりのない私にそこまでするなんて。わかった、いいよ。でもそういう貴方が怪我しないでね」 そういうと彼女はナイフを仕舞った。 「ありがとう」 それにつられて俺も少し笑った。 「もういいか?糞野郎」 何故か空気を読んでくれた不良のリーダー。 「話してる間に襲いかかってくればよかったのに」 「手ぶらの奴を大人数でリンチはしねぇよ。いいから早く得物を出せ!その白髪全部引き抜いてやる!」 何故か不良は変な方向で礼儀をわきまえている。なら女の子なんて襲うなと。 「白髪じゃねぇ、銀髪だ……んじゃ遠慮なく」 そして腰のホルダーから愛銃を引き抜く。 黒いハンドガン。洗練されたフォルム。その銃口を男共に向ける。 「さぁこいよ、まとめて相手してやる」 一発の銃声が、始まり告げる。
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