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こいつはクエストをなんだと思ってるんだろうか…
相手は仮にもモンスターな訳だし、それを相手にするという事は、少なからず命のやりとりがある訳だ
万が一、という事を考えてないのだろうか…
まぁ、楽観的なのは別に悪い事じゃない
その方が気が楽だし、最悪の事態を考えずに済む
街を出て、草原を抜けて行く間、こいつはずっとむっすりしていた
相当さっきの事が気に障ったらしい
たかがお菓子くらいでこんな…、相当わがままなのか?
「なぁ、そろそろ機嫌直せよ。戻ったらその金使って買えば良いだろ」
「え?、あ、うん」
「?、どうした?」
「う、ううん、何でもないよ」
「…変な奴。森に入るぞ」
「うん」
なんだ?、怒ってたんじゃ無いのか?
疑問に思いつつも、なかなか踏み込めずに森に入った
相変わらずの原生林で、様々な樹木が生い茂っている
ついでに、鳥や小動物などのさえずり、動き、ざわめき
それらがそこら中から聞こえる
とりあえず、川辺だな
適当に歩を進めると、見なれない傷が多々樹木についていた
確かにカタゴラスは縄張り意識がある。しかしこんなマーキングは見た事が無い
しかもこの大きさはカタゴラスの爪とは比にならない
もしかしたら、大型が居るのかも…
警戒しておかないと…
さっきより慎重になった俺に気づいたテスラが、隣に並んだ
そして___
「(ふー…)」
ゾクゾクゾクゾクーッ!!
み、耳!、耳に息がっ!
「(ば、バカやろう!!、何しやがる!)」
「(い、いや、体が硬いかなぁーと思って)」
「…(もっとやり方を考えろよ)」
未だに寒気が走る体をさすって、再び周囲に警戒を向ける
………ヤヴァイ…、危険だ…!
「(伏せろ…!)」
「うにぁ…!」
テスラの頭を押さえつけて更に気配を探る
音が消えた…
近くにヤヴァイ奴が来てる…!
ズズン………
…ャァァアアアッ!!
「(ッ!)」
やっと周囲の状態に気づいたテスラが地面から顔を上げる
顔の汚れを払ってから、音のした方向に耳をそばだてる
さっきの悲鳴はカタゴラスの声だ…
とすれば、絶対に俺たちが敵わない相手がいるって事だ
早く逃げないと…!
「(テスラ!、逃げるぞ!)」
「………、あ、う、うん。でも、もう遅いみたい」
「(何言って…!)」
…グルルルルル………!
唸り声はすぐそこにあった
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