【2章】ギターと神の歌

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次の日、約束の時間になっても菜々瀬は現れなかった。 それから1時間…2時間…3時間。 ((ま、まさか…なぁ)) 波の音が大きくなった。 ((波にさらわれた?無事に家にたどり着けなかった?誰かに連れて行かれた?)) 波は更に大きくなる。 ((そうだ!警察に!!)) そう思い勢いよく立ち上がった辰也は、すぐにまた座り込んでしまった。 ((菜々瀬の何を知ってるっていうんだ…オレは…))   ((オレは…))   潮風が頬に冷たくあたった。 波の音は何もかもを飲み込んで消した。 目の前が真っ白になって、何も分からなくなってしまっていた。   いつの間にか辺りは薄明るくなっていた。 そんなことなど考える余裕はまるでなかった。   そして、すっかり日が昇ってしまった。 休日だったのが不幸中の幸いだった。   「あれ?お前こんなとこで何やってんだよ。ボーッとしてさぁ」   ハッとして振り返った先には、クラスメートの祐介がこちらを覗き込んでいた。 辰也は戸惑いながら前へ向きなおした。   「…なんだ、お前か…」 「おい!ひでぇ奴だなぁ…」 「あぁ…悪い…」   祐介は不思議そうに辰也を見下ろした。 ((…やけに素直だなぁ))   「…あれ?」
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