【2章】ギターと神の歌

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((探しに行けばいいだろ?…どこにだよ…。心当たり全部?…そんなの無理だろ。…でも"神屋"っていう苗字ってあんまりないよなぁ。そうだ!電話帳!!)) 近くの電話ボックスへ向かった。 その足はいつになく慌て、手は忙しなく電話帳のページをめくる。 何度も同じページを行ったり来たりしてやっと探し当てた。 だが、 ((…ない)) 何度見直しても"神屋"という名前は見つからない。 ハッとして表紙を見た。 間違いなく最新版だ。 ((あとは…)) その顔は必死だった。 辰也は、電話ボックスを飛び出した。   足は図書館へ向かっていた。 図書館の新聞コーナーだ。 菜々瀬の父親は最近亡くなったのだ。 ((あの日は入学式から4日後だったから…4月12日。その前の日だから11日。…この辺りだ!)) 図書館のゆっくりとした時間の流れを裂くように、パイプに吊られた新聞をガタガタと調べ始めた。 4月分のコーナーに数種類の新聞がめちゃくちゃに並べられていた。 ((ない)) 思わず、全部並べ替えて綺麗に整頓してしまった。 だが、12日だけなぜか一つも見つからない。 理由はすぐに知れた。 11日の新聞が言うには、『明日は休刊日』。
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