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七月七日。
生憎、天気は曇り。
けど気分はそんなに悪くない。
久しぶりにワクワクしていた。
放課後――
「辰也!!行くぞぉ!!」
「待ち合わせ場所は?」
「公園の入り口!!」
そう言って教室を飛び出した。
祐介は大の祭り好きなのだ。
((おいおい。そんなに急がなくても待ち合わせまでにはまだ一時間もあるぞ…))
時計の針はちょうど五時を回ったところだった。
約束は六時。
((のんびり行くか))
鞄に荷物を詰め終わるくらいに廊下から声がかかった。
「辰也くーん!辰也くんっていますぅ?」
同じ学年の女生徒だった。
面識はない。
「オレだけど」
「ぁ、咲に頼まれたんだけど、今日行けないって」
「え!何で?」
「そこまでは、ちょっと。急いでた上にケイタイ忘れたみたいで―」
そんなことを軽く告げると、女生徒はパタパタと行ってしまった。
((よっぽどの事があったんだな、たぶん。あいつが約束破った事なんてなかったからな))
そんな事を考えながら玄関へ向かった。
((祐…怒るかな?))
靴を履きかえ、外へ出ると相変わらずどんよりとした雲が広がっていた。
((…怒るかもな))
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