【5章】七夕のはぐれ織り姫

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七月七日。 生憎、天気は曇り。 けど気分はそんなに悪くない。 久しぶりにワクワクしていた。   放課後――     「辰也!!行くぞぉ!!」 「待ち合わせ場所は?」 「公園の入り口!!」 そう言って教室を飛び出した。 祐介は大の祭り好きなのだ。 ((おいおい。そんなに急がなくても待ち合わせまでにはまだ一時間もあるぞ…)) 時計の針はちょうど五時を回ったところだった。 約束は六時。 ((のんびり行くか)) 鞄に荷物を詰め終わるくらいに廊下から声がかかった。 「辰也くーん!辰也くんっていますぅ?」   同じ学年の女生徒だった。 面識はない。 「オレだけど」 「ぁ、咲に頼まれたんだけど、今日行けないって」 「え!何で?」 「そこまでは、ちょっと。急いでた上にケイタイ忘れたみたいで―」   そんなことを軽く告げると、女生徒はパタパタと行ってしまった。 ((よっぽどの事があったんだな、たぶん。あいつが約束破った事なんてなかったからな)) そんな事を考えながら玄関へ向かった。 ((祐…怒るかな?)) 靴を履きかえ、外へ出ると相変わらずどんよりとした雲が広がっていた。 ((…怒るかもな))  
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