【2章】ギターと神の歌

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すると、海の方を見ていた菜々瀬が辰也に振りなおった。   「…それ、知ってる」   辰也はちらっと菜々瀬を見て、すぐギターに視線を落とした。 菜々瀬はただ、じっとギターを見つめていた。   「…I know I need do…。…quite…world…」 「歌詞いる?」   菜々瀬は勢いよくうなずいた。 よっぽど好きな歌らしい。   「I know I need to be in love I know I've wasted too much time I know I ask perfection of A quite imperfect world And fool enough to think that's what I'll find ~」   始め、菜々瀬の歌は鼻歌程度だったが、終わりには気持ち良く歌っていた。 辰也も笑みをもらしていた。   パチ パチ パチ…   辰也が手をたたいた。 菜々瀬は急に真っ赤になっておろおろし始めた。 そして、目を泳がせながら膝を抱えて小さくなってしまった。   「この歌、好きなのか?」 「…お父さんがいつも歌ってたの」   そう言いながら、とても嬉しそうである。   「カーペンターが好きだったのかな?」 「…分からない」   辰也はため息を一つ吐いてから   「何か、歌いたい曲はないの?」 「………」   いつもこう聞くと黙ってしまうのだ。
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