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ぼくはとりあえず笑った。
それ以外にするべきことは見つからない。
だから、さらに笑った。
今の今まで笑顔を浮かべる程度だった笑いはだんだん激しさを増してきて、ぼくはいつのまにか声を出して笑っていた。
その笑いも次第に熱を帯びてきて、ぼくはにやける顔を押さえきれずにそのまま笑う。
イーヒッヒ、イーヒッヒ。
大笑いとはまさにこのこと。ぼくは今もしかしたら一生ぶんの笑いを使い果たそうとしているのかもしれない。
笑いは止まらない。止めようとも思わない。だってそうだ。こんなにおかしいことがあるか。今までに見て聞いて感じた事実がまさに嘘だったかのように、今ぼくは笑っている。
しかし、そうもなるとのち十秒もすれば心の内に疑問が沸いてくる。
ぼくは一体全体どうして笑っているんだ?
それから、目の前の目も当てられないほど悲惨な惨事を今かいま見て、理解するんだ。
ぼくはとりあえず笑った。
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