本文本編本筋本当いろいろ言葉はあるけれど

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冷たい。 世間の目が、ではない。もちろんそれが一切ないわけじゃないが、少なくとも今回は関係ない。 柔らかい。 ぼくは顔につく余分な水滴をタオルに吸い取らせ、鏡を見て一息ついてから、悠々と支度を始める。 今日は学校。新学期最初の登校日。ぼくは学校を嫌ってはいないが、格段なくてはならないとも考えていない。普通に先輩へ挨拶を届け、普通に教師に頭を下げて、普通に正門から帰る。ぼくにとって学校は普通だった。 「……」 ぼくは普通が嫌いだ。何が嫌いかと問われれば返答に困るが、そんなの本能レベルで嫌いなんだから仕方ないじゃないか。とにかく、ぼくは普通を嫌っている。つまり、よくよく考えてみれば学校も嫌って当然なのだ。学校=普通、普通=嫌い、なら嫌い=学校になるのは当たり前。ぼくは数学を得意としていた。しかし、問題はそこではない。 「……ふぁーあ」 我ながら情けない声だ。ぼくは目尻の涙を指でふき取りそう考え、それから鞄を持って扉を閉めた。 鍵はちゃんとしめなければいけない。
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