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このビル、確か十二階建てだっけ――うーん、落ちたらチェリーパイ……。
結果、生々しい想像が現れ、余計に慌てた。
そしてまた着地地点であるごみ山に目を持ってかれてしまって。
み、見たくないけど、あり得ないけど、こんなタイミングに遭遇とかって絶対にないと思ってたけど。
空唾がまた僕の喉を通る。
と、その時だった。
ごみ山の黒い袋が一つ、崩れ落ちた。
びくっ、と僕の体は反応し、抜けていた腰が戻った。
それでも立ち上がった僕はその場から動く事が出来なくて、がさがさ、と鳴るごみ山を見ていて。
動いてるって事は。
い――生きてんのか、な?
生きてても、とか想像豊かな僕の脳みそはフル活動しっぱなしだけど、助けなきゃ、というのがあって恐る恐るそのごみ山に近づく事にした。
黒い袋を一つ一つ、ゆっくりとどけながら、足を近くでまじまじと見てみる。
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