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---海季サイド---
「ねぇ、なんか煙くない?」
俺の腕の中にいる美有は鼻をヒクヒクさせて臭いを嗅いでる。
それにつられて俺も部屋の臭いを嗅ごうと首を右から左へと……
げっ…………
ドアのところに寄り掛かり、タバコを吸ってる二つの鋭く、いかつい目が俺を捕らえた。
「あ、見つかった!」
舌を出し、ニカッと笑う海斗。
「お前、いつからいたの?」
美有しか見えてなかった俺は海斗がいることなんて、
全く気が付かなかった。
俺は弟に見られたくない一面を見られ、
少し戸惑う。
でも、それは顔に出したくないわけで。
ポーカーフェイスを装った。
「えっと…
“俺はワガママで、甘ったれで、どーしようもなくて、泣き虫な美有が可愛くて好きなんですけど?”
位から?」
ってことは、ほとんど見てるわけで、
俺が美有にキスしたりしてるのもバッチリ。
身内に見られるのは……
本当に気分が良くない。
「兄貴の息子がいつ暴れだすんじゃないかって
心配だったんだよねー」
楽しそうにケラケラ笑う。
てめー、ふざけんなよ?
と言いたい所を我慢。
俺はその意味を込めて、海斗を睨んだ。
「おおーコワッ。俺荷物取りにきただけだし?
…………帰ります。ごめんなさい。さようなら」
そういって海斗は今日の朝持ってきた
家出道具を肩に担いで帰った。
はぁー……
もう、嫌。
ちゃんと家の鍵閉めよ……。
END
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