小さな蕾

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昔は辛いこともあったけど、 それは過去に… 思い出にして新たな一歩を踏み出した海羅。 いつまでも甘えてばかりはいられない。 それは本人も良く分かってると思う。 全く俺はいつまで経っても世話焼きだな…。 シスコンも中々抜けてない気がする……。 海羅には甘い。 「海斗はまだ来てないの?」 そんな俺の気持ちなんか気にせず、 自分で作った曲であろう歌を口ずさんでいる。 「あいつが時間守ると思ってるの?」 海羅は一瞬考え、 「そうだね」 と言ってエプロンを付けた。 海羅は器用に料理をしはじめる。 「手伝おうか?」 「あっ、じゃこれ切って」 海羅は俺に人参を押しつけた。 俺は結構料理が得意。 高校時代も空とか修が遊びに来た時は 良く作ってやってた。 ちゃっかり、金を取ったりもしたけど…。 バイトしてなんとか遣り繰りしてるのに、 ただ飯は食わせない。 これ、俺の信条。 だから昼は海羅に弁当を頼んでいた。
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