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早く行かないと。
空を奪われたくない。
空を失いたくない。
さくらと空が付き合ってたとしても……さくらから空を奪い返す。
絶対に渡さない。
私はさくらが走っていったほうへ追い掛けた。
校舎の入り口を出て、大学のキャンパスに出た。
さっきまでいたクーラーが効いた涼しい部屋とは違い、ムンと暑さが堪える。
一瞬のうちにじわぁっと額に汗が滲んだ。
それを手の甲で拭う。
サンサンと照り輝く太陽がジリジリと肌を焼く。
グルっと回り空とさくらを探した。
あ……いた……。
食堂の近くの木陰で空とさくらは楽しそうに笑っていた。
嫌だ。
空の隣にはいつも私がいた。
空の隣は私の特等席なの。
その場所にいると安心できるの。
少し斜め上をむけば、空の笑顔を見ることができる私だけの場所。
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