大切なもの

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「これ描いてた」 講義中に描いていた絵を見せた。 細かい線とかを描くのが苦手。 定規を使うのがキライ。 真っすぐな線がキライ。 「ちゃんと勉強してよ!」 海羅は絵を見ようともせず、俺に紙を突き付けた。 「いいから見ろって」 再び紙は海羅に渡った。 「………何これ?」 俺はソファーに海羅を引き寄せ、前に座らせる。 後ろから抱き締めて肩に顎を乗せた。 「うまいでしょ?」 「“儚い者たち”?」 “儚い者たち”というタイトルの絵を渡した。 それは海羅が作った曲と同じタイトル。 俺が描いた絵は後ろ向きの男と女。 羽根はボロボロだけど、二人の羽根を重ねるとハートができる絵。
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