大切なもの

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一人ではボロボロの羽根は二人でならハートを描く。 一人では乗り越えられないことも二人でなら乗り越えられるという俺からのメッセージを込めた。 出会った頃の俺たちの羽根はボロボロで今にも散ってしまいそうだった。 あれから二人で多くの事を乗り越え、今がある。 海羅はその絵をじっと穴が開きそうなくらい真剣に見ていた。 何も声を発しないから心配になって横から覗き込んだ。 「何泣いてんだよ」 目にいっぱい涙をためてポタポタと絵には零れないようにしながら泣いていた。 「……だって…」 俺はきつく抱き締めた。 「そんなに泣くな」 「泣くよ、馬鹿」 そう言ってくしゃくしゃの笑顔を向けた。
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