大切なもの

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その中で唯一心を開いていたのは、海羅の双子の兄の中幡海季。 海季は俺の高校時代からの友人でもある。 今の海羅はちょっと抜けてるところはあるし、これが本当の素顔なんじゃないかなって思う。 俺にはちゃんと海羅のすべてを見せてほしい。 「ごめん、ごめん。ちょーっと煮込みすぎちゃった」 舌を出して謝る。 俺の前のテーブルに出されたのは美味そうな肉じゃが。 よくおふくろの味とか言うけれど、俺にはその味が分からない。 俺を捨てたことで両親を恨んではいない。 別に会いたいだなんて思ったこともない。 海羅も本当の両親とは一緒に暮らしていない。 幼い頃に飛龍家の養女になった。
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