大切なもの

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“桜木”って言うのは母親の姓。 今はどこにいるか分からない母親の姓を今も引き継いでいる。 何だかそれが嫌だった。 だから早く海羅と二人の世界を築き上げたい。 俺たちはまだまだやらなきゃならないことがたくさんある。 それが終わってから結婚出来たら良いな。 海羅の今の両親、冬夜さんと皐月さんにもちゃんとした挨拶をしなきゃ。 ふざけた挨拶じゃなくて、ちゃんとした挨拶。 飛龍家には頻繁に遊びに行っている。 冬夜さんの書斎には俺の好きなヨーロッパの建築の本がたくさんある。 冬夜さんもそういうのが好きで色々な本を貸してくれる。 「ちょーだい!」と言うとあっさり却下される。 でも、そのあとに同じ本を買ってくれる。 「新しい本の方がいいだろ?」と言う冬夜さんはかっこいい。 それに比例して冬夜さんの書斎にはまた新しい本が増えていく。 それが楽しくって仕方がない。 正式?な挨拶をしないとダメだよな? 「娘さんをください」 って言わなきゃ行けないんだよな? なんかあの二人に言うのも……嫌だなぁ……。 絶対からかわれるし。
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