大切なもの

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「どした?聞いてやるよ」 「あ、うん。あのさ…」 「うん」 「……ちょっとそっち行っていい?」 海羅は俺の隣の空いている場所を指差した。 「いいけど……」 ちょっと移動して十分に座れるスペースを作った。 海羅は膝立ちで俺のところにやってきてちょこんと膝を折って座る。 俺はそんな海羅が海羅じゃないみたいで少し戸惑った。 それと同時に愛しい感情も一緒にやってきた。 俺は小さく丸まっている海羅を抱き締めた。 そしてゆっくり左右に体を動かした。 海羅もそれに合わせて体を揺らす。 「家族で遊園地なんて行った事がないんだ」 「俺だって家族で遊園地なんて行った事ないよ」 「あ、そっか。空もないんだよね」 「一緒に行こうな。初遊園地」 「うん!」 満面の笑みで笑う海羅はかわいくて、喜んでくれることなら何だってしてやるよ。
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