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「距離を置いてるだけだもん」
捨てられてなんかいない。
距離を置いてるだけ。
ちょっとの間、一定の距離を保ってるだけ。
「それを捨てられたって言うの!
一度離れたら決して戻らないの!!」
「そんなことない!」
そんなことは…ない。
そう思いたい。
「現に、私と空は付き合ってるの!
私と空の邪魔をしないで!」
私とさくらの言い争いで講義室にいた生徒がチラチラと興味津々で見ていた。
そんな回りの目なんかを気にせず、私たちは言い合っている。
「私と空は別れてない!」
「なんで空が私にペアリングをくれるのよ!」
「返してよ!それはさくらのなんかじゃない!
私のなの!」
「だーかーら!海羅のじゃない!」
紛れもなく私と空のペアリング。
沖縄の海で空が私に付けてくれたペアリング。
大切な大切な指輪。
それが今、他の人の指にある。
その時、さくらの携帯が光って電話に出る。
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