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「そんなにその男が良いの?」
「うん」
「辛い想いばかりしてるのに?」
「うん」
どんなに辛くても、私は空を追い求める。
どんなに空に突き放されようと、空を求める。
空がいなきゃ、ダメなの。
「俺に勝ち目はない?」
「……ごめんなさい」
「どんなに頑張っても?」
「どんなに頑張っても」
空以外を好きになることはない。
「そっか」
やっと私の腕から翔太くんの手が離れた。
「ごめん」
「そんな謝んなって」
翔太くんは苦笑いをして、腰に手をあてた。
「あ~あ、玉砕か~。チャンスだと思ったのにな」
翔太くんはググッと伸びをした。
「えっ?」
「弱ってる時がチャンスだと思ったの。
男の傷は男しか癒せないって言うじゃん?」
いつもの笑顔を私に向けた。
「でもダメ、か…。そーとー好きなんだね」
「うん。世界一大好き」
「あはは、言ってくれるね~」
もう迷いはない。
「私、行くね」
「おう」
私と翔太くんは反対方向に歩きだした。
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