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「最初から分かってた」
そう言ってさくらは空に何かを渡してその場からいなくなった。
いつものように強く、それでいて優しく空は抱き締めた。
ゆっくりと空の背中に手を回した。
「空」
空の胸に顔を埋めて、泣き続けた。
「ごめんな。ひどい事ばかり言って」
私は横にぶんぶん首を振った。
「俺……海羅がいないとダメみたい」
私だってそうだよ。
空がいなきゃ嫌なの。
「でも俺……これからもっと海羅を傷つける」
それでもいい。
どんなことがあっても、空から離れたくない。
辛いことがあっても、手放したくない。
「それでも……いいの?」
「うん」
「ホントに良いの?」
「うん」
「海羅……俺……夢を叶たい」
空は私の耳元でそう呟いた。
夢……?
空の夢の話を今まで、聞いたことがない。
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