どんなに頑張っても

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「……俺……イタリアで建築の勉強がしたい」 私の肩に手を置いて、離した。 空は諦めがついてなかったんだ。 高校3年の時。 空は留学制度がある大学から今の大学に進路を変更した。 それから4年間、空はずっと進路を変更したことを後悔してたのかな? 「ごめんね、空」 「何で海羅が謝るの?」 「気付いてあげられなくてごめん。 ずっと後悔してたの?」 空の両手が私の方に伸びてきて、両頬を横に思いっきり引っ張った。 「馬鹿海羅」 久しぶりに聞くその言葉。 目の前にはニカッと笑う空の顔。 「本気で建築の勉強がしたくなったのは最近。 だから……迷った。 俺は海羅と離れたくない。だけど、イタリアで建築の勉強がしたい。 矛盾ばっかりでどうしたらいいか分からなくなって海羅を傷つけた」 空は頬から手を離し、私の涙を拭った。 空の手に自分の手を重ねた。
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