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私は久しぶりに使う空の家の鍵を鍵穴に差し込んだ。
何度もこの鍵で出入りしているはずなのに、今日はやけに緊張する。
「どした?」
なかなか鍵を開けない私を空が覗き込む。
「ん。ちょっと緊張」
「あははっ」
「笑わないでよ……」
「久しぶりだもんなっ」
空は私の手に自分の手を置いて、鍵と一緒に右へひねった。
カチャっという音がなってドアが開いた。
「さぁさぁどうぞ、お姫さま」
空は私の手を取って家の中にいれた。
私が家を出た時と何一つ変わっていない空の家。
リビングのソファー。
ソファーに乗っているテディベア。
空の匂いが染み付いているこの家。
何も変わってない。
コルクボードには二人で撮った写真、それに空が描いた絵が飾られていた。
その端にはセロハンテープでいくつも留めてある写真が気まずそうに飾られていた。
空が書いた【誓いの言葉】。
ビリビリに破いて“考えさせて”そう言った空。
それが今、ここに貼ってある。
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