あれから僕らは

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「なぁ、空」 「はい」 「俺の後を追っていても仕方ないぞ。 自分の個性を出すんだ。 模倣しても何も残らない。 後は日本で頑張ってみるのもいいんじゃないのか?」 日本で頑張る? 俺にできるのか? マルコの言葉を聞いていたらどんどん自信がなくなってきた。 「日本で空にしかできない建築をやってみろよ」 「俺に…俺に…できますか?」 「お前はもう大丈夫だ」 “大丈夫”という魔法の言葉。 マルコを見ると、その目は俺を捕えて離さない。 「日本で有名になってこい」 「はい」 「大切な人が待ってるんだろ?」 「世界で一番大切な人です」 「早く帰ってやらないと他の男に取られるぞ」 あははと笑った。 「もう取られてるかもしれませんね…」 さっきまで笑っていた顔が急に真顔に戻った。
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