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様子を見ていた生徒達の悲鳴が上がる。
大きな衝撃を予想していた帝は、体に回された腕の暖かさに、パチッと目を開いた。
どこからともなく聞こえたたくさんの安堵のため息に、ごく近くでこぼされたものが混じった。
開いた目をそのまま上に持っていくと、帝の体をしっかりと支え、心配そうに覗き込む拓真の顔が、文字通り目の前にあった。
「っっ!?」
驚いて拓真を突き飛ばすように離れると、拓真は苦笑しながら「大丈夫か?」と口を開いた。
周りからも帝を心配するような声が聞こえたが、それに反応する余裕が今の帝には無かった。
「・・・っ、っ、なんで、赤くなってんだ、俺・・・!!」
そう、先ほどから、帝は俯いて真っ赤になった顔を隠していたのだ。
なかなか反応を返さない帝に、もしや怪我をしたのか、と不安になってきた拓真が、下から覗き込むように見上げてくる。
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