Chapter Ⅲ ~第三章~

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いつもならば、きりりと上がっている眉尻もふにゃりと下がり、不遜な笑みばかりを作っている口角も柔らかいラインを描いている。 生徒達が今まで見てきた"生徒会長"とは全く違う、しかしそれに負けるとも劣らない魅力を持つその笑顔は、帝と親しい者達でもめったに見られない、むしろ初めてかもしれないものだった。 「「「「っ・・・!きゃぁぁぁぁぁっ!!!」」」」 「「?!」」 一瞬の空白の後、我に返った生徒達が上げた絶叫にも近い歓声は、二階席にいた者達の意識を正常に戻させた。 帝が危うく階段から落ち掛けた事にショックを受ける者、三宅の行動に驚き、動揺する者、予期せず帝の笑みをバッチリ見てしまった者など、理由は様々に動きを止めていた皆が、ハッと我に返ったのだ。 皆、と言っても拓真は例外で、爆発した叫び声に軽く眉間に皺を寄せながらも飄々とわらっていた。 「おー、今まで、・・・って言ってもさっき会ったばっかりか・・・まぁいいや、うん、今までの中で一番いい顔だな!やっぱ子供は笑顔が一番だ!」 「!!!こ、子供扱いすんなよ!」 からからと笑いながら言われた台詞に、咄嗟に言い返してしまい、それもさらに子供っぽいことに気づいた帝は、それはもう苦々しい表情で舌打ちした。 _
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