Chapter Ⅲ ~第三章~

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舌打ちした後、帝は気持ちを落ち着けるようにため息をこぼし、拓真をみた。 その視線に気づいた拓真も、にこにことしていた顔を止め、帝に向き合った。 帝は拓真に話し掛けようとしたが、未だに煩く落ち着きのない階下を見ると、眉をしかめて声を張り上げた。 「おまえ等!そろそろ昼休みも終わる時間だろうが!さっさと飯食って教室に戻れ!」 言うだけ言って、後は知らないとばかりに視線を戻した帝は、今度こそ拓真に話しかけた。 「・・・いろいろとすみませんでした。せっかく食堂に来たけど、これじゃあ落ち着いて話はできません。資料等も生徒会室にあるので、一度あちらに戻りましょう」 「ふむ・・・確かに、その方がいいかもな。でもな竜宮寺、俺たちは別に、話だけをしに来た訳じゃないだろ?」 わざとらしく提案した帝に賛成した拓真は、苦笑しながら近くにいたウェイターを呼び寄せ、注文した食事を生徒会室に運ぶように頼んだ。 頼み終えた拓真が振り向き、今度こそ帝と食堂を後にしようとした。 すると、今まで静かにしていたと思っていた三宅が、急に叫んだ。 「あれ?!帝もう行っちゃうのかよ!!おれがいるんだから、一緒に飯くうだろ!!」 その声にうんざりしたように振り向いた帝だが、振り向いた先にあったのは、拓真の大きな背中だった。 「悪いなぁ、俺たち、これからまだお仕事があるんだ。だから、ご飯はまた今度な?」 と、完全に小さな子供を相手にする口調でいった拓真に、帝と偶然それが聞こえた生徒が小さく吹き出した。 _
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