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二人以外誰も居ない静かな生徒会室で、向かい合って座った帝は、拓真が「いただきます」と言ってごく普通に食べ始めたのを見て、またどこか体に入っていた力が抜けたのを感じた。
食事に手をつけるでもなく、ぼんやりと拓真を見ている帝に、とうとう耐えきれなくなった拓真は笑い出してしまった。
急に笑い出した拓真に、ぱちぱちとまばたきをした帝は、どうしたのかと問いかけた。
「くくくっ・・・。いや、きみはどうにも、聞いていたより可愛らしい所があるようだから」
予想もしなかった答えに、帝はまたもや顔を赤らめて叫んでしまった。
「んなっ!可愛くないですって!だいたい、貴方こそ急に口調を変えたりしてなんなんですか!さっきまでの方が、よっぽど良かったですよ!・・・それに、いつもはこんなにぼんやりなんかしてない!最近疲れているからだ!今は少し気が抜けてるだけだ!」
途中から敬語もかなぐり捨てて言い切り、ぜーはー肩で息をして、帝はそこで拓真がぽかーんと口を開いて帝を見ていることに気付いた。
間抜け面を晒していた拓真は、一瞬の後、ぶふっ、と噴き出した。
その時点で、自分が過去最大の失敗をしたことに気付いた帝は、爆発した。
「-------っっあ゛ぁぁっもうっ笑えよ!!笑えばいいだろ!!無駄に我慢される方がつれぇーっつうの!うあーもう嫌だ。もうやってらんねー・・・」
顔を両手で覆い隠して、大声で叫んだ帝はそのままソファーに倒れ込んだ。
その後しばらく、生徒会室には倒れ込んだまま悶える帝の姿と、大爆笑する拓真の声が響いていたそうな。
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