Chapter Ⅲ ~第三章~

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ひとしきり笑った拓真は、ふう、と呼吸を落ち着かせると優しい眼差しで帝を見た。 拓真が笑いやんだことに気付いた帝も、まだ少し赤みの残る顔ではあったが身を起こした。 帝が持ち直したのを確認した拓真は、口元に笑みを乗せながら口を開いて言った。 「・・・せっかくだから、さっきの言葉に甘えさせてもらっていいか?今までいた学校ではいつもあの口調だったから、どうしてもぬけ切らなくてな」 と可笑しそうに言う拓真に、帝はやや照れくさそうに頷いた。 「構いません。元からそこまで気にしない質なので」 もうすっかり落ち着いた様子の帝をみて、拓真は心の中で感心していた。 そして、落ち着いたついでにやっと食事に手を着け始めた帝にならって、拓真も食事を再開した。 そのあとは、食事が終わった後に二人で今までの仕事の進み具合や予定、必要書類などの軽い確認を終わらせた。 話を聞く限り、やはり一人では無理があったようで期日のギリギリな書類がいくつかあった。 拓真はその中から、顧問でも処理が可能な書類を抜き出すと、後のものを帝に渡して、今日はこれだけをやって後は休むように言い渡した。 帝はやや不満げではあったが、明日からの効率のためだと言い聞かせて、なんとか納得させた。 こうして、二人の初対面は幕を下ろしたのだった。 _
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