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「九条」
予想していなかった客人に、拓真は目を瞬いた。
「ふふっ、こんばんは」
そんな拓真の様子に、雅はくすくすと笑いながら手に持っていた袋を持ち上げた。
カサリと音を鳴らしたそれに、拓真は今度は不思議そうな顔をしながら、取りあえず雅を部屋に招いた。
「どうしたんだ?何か用事があったのか?」
ドアを開け放ちながらの質問に、雅は笑みを浮かべたまま答える。
「いえ、久々の再会だったので、食事でもしながら話がしたくて」
ちゃんと買ってきましたから、ね?
と首を傾げる雅に、拓真も嬉しそうな表情でその申し出を受け入れた。
二人でテーブルに夕飯の準備をしながら、ぽつりぽつりと会話を交わす。
そこには、まるで学生の頃のような落ち着いた空間があった。
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