To return ~閑話休題~

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準備が終わり、席について食べ始めた二人は、今まで会わなかった時間を埋めるように話に花を咲かせた。 この学園に来る前はなにをしていたのか。 他の仲間たちはどうしているのか。 色々なことを話して、話題がつきる頃には夕飯も食べ終わっていた。 食事も話も一段落吐いたところで、雅はおもむろに「ところで、」と話し始めた。 「あなたがこんな半端な時期にこの学園に来た理由は、やはり・・・生徒会、ですよね?」 「ん、まぁ、そうだな。理事長に頼まれてさ」 「では、またあの時のように役員を入れ替えるのですか?」 そう問いかけられた拓真は、考えるように目を閉じた。 その場にはしばらくの沈黙が流れ、雅が僅かな気まずさを感じ始めた頃に拓真は口を開いた。 「・・・いや、なるべく役員たちを改心させる方向でやらせようと思ってる。俺はそのサポートをするだけさ」 その答えは雅の予想に無かったらしく、目を瞬かせながら何故かと言った。 「俺の時は、迷いはなかったからな。俺が選んだ役員ではなかったし、何よりも会長が許可してくれたから」 そう言う拓真の目は、どこか遠くを見ているようだった。 その頃はまだ生徒会ではなかった雅は、当時のことを人伝にしか聞いていない。 その時、拓真がどんな気持ちで全てを行ったのか、想像することしかできない。 拓真はそこで一旦口を閉じて、飲み物を飲むとまた話し始めた。 「・・・でもな、竜宮寺には、まだ迷いがある。自分で選んで、今まで一緒にやってきた仲間だ。信頼もあったろうし、何より食堂で役員たちを見る目には、まだ、温かさがあったから。・・・だから、俺はぎりぎりまで竜宮寺を応援するよ。そのために、この学園に来た」 _
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