2644人が本棚に入れています
本棚に追加
「だけど俺は、それをしようとは思わない。何故だか分かるか?」
拓真の問い掛けに、双子は揃って首を横に振る。
話が聞こえていた帝も、興味深そうに視線を寄越した。
しばらく眼を伏せていた拓真は、ゆっくりと思い出すように話し出す。
「俺が、"学園を変えた生徒会長"なんて呼ばれているのは知っているだろう?」
「そう呼ばれる原因になった出来事、知ってるか?」
また、双子は首を振る。
「------その時は、俺はまだ生徒会長じゃなくて、ただの役員だったんだ。みんなで仕事をして、たまにふざけて、仲良くやれていたと思う。・・・だけどな、そんな、新学期が始まってしばらく経った、中途半端な時期に転入生がやって来た。」
ここまで話すと、帝が何かに思い当たったように息を呑んだ。
拓真はそんな帝をちらりと見たが、なにも言わずにそのまま話を続ける。
「その転入生は、明るくて元気で、性格も、・・・悪くなかったんだと思う。転入生を出迎えた副会長、食堂で話した会計と書記。どっちも、その転入生が大層気に入ったらしくてな。ことあるごとに転入生に会いに行って、離れなかった」
「当然転入生に会いに行っている間も、仕事はやって来る。最初は会長と俺のフォローで何とかなっていたんだ。・・・・・・でも、それも段々追い付かなくなっていった」
_
最初のコメントを投稿しよう!