小咄/こばなし

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【化け物屋敷】 ある空き家に幽霊が出る という噂を聞いた男が 「よしっ、俺が幽霊を 退治してやる。」 と言い出したので、周り の人間は 「やめたほうがいい…」 と止めましたが、男は 「なーに大丈夫だ。 幽霊の野郎が出てきや がったら、ぶち殺して、 すましの吸い物にして 食っちまう」と 五升樽(ごしょうだる)を ひっかけて 夜になると空き屋敷に 出かけて行きました。 男は酒を呑みながら時間 をつぶしてましたが、 待てどくらせど幽霊は 出てきません。 そのうちに男は 酔っぱらって寝てしまいました。 「カア、カア、カア」 というカラスの鳴き声で 目を覚ました男は 仕方がなく帰ることにしましたが あまりに癪(しゃく)に さわるので、 「何だっ、幽霊なんて 出てきやしねえじゃねえか。 俺を誰だと思ってやがるっ。 この意気地(いくじ)なしめっ!!」 と大声で悪態をついていると どこからか声がして 「何言ってやがんでい。 出た時は寝てやがったろうっ」
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