お絵描き

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目が真剣過ぎじゃい… その真剣すぎる眼差しはまるで恋敵をみるような目であった。 孤高の天才・吉田栄太郎にここまで愛される妹とはどんなだろう そんなことを思いながら山県は話題を変えた。 「しかし、珍しいのう。この時間に久坂殿がおらんのは」 山県からみて久坂は年下ではあったがこの松下村塾に自分を紹介してくれたある意味己の生き方を変えてくれた恩師のような存在である。 そのため敬称として殿をつけている。 またそれが気に入らなかったのか栄太郎は眉間にシワをよせた。 「義助は表向きは天涯孤独だが、一人妾腹の弟がいてね。妹と同い年らしいんだ」 また妹の話を挟みよったか 「今日は兄弟水入らずっちゅうことやな?」 「あぁ」 と二人の会話中も栄太郎は絵筆を止めることはなかった。  
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