動き出した野心

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軍議が終わり下臣たちは 部屋を後にしていく。 元康は早々に部屋を出ていった。 一真は元康の顔が 頭から離れなかった。 (ありゃ相当恨んでるな…。義元も少しは優しくしてやればいいのに…) 様々なことを思ったが、 (はぁ…疲れた…まずは寝るか…) と大きな欠伸をして 用意された部屋に向かった。 初めて経験した戦に 初めて経験した人殺し 精神的にも体力的にも 限界がきていた。 足を引きずるように歩き 襖に手をかけた時だった。 (ん?何か鳴き声が聞こえたような…) ゆっくりと襖を空けると 背中を丸くして座っている 涼がいるだけだった。 (気のせいか…) 「おい…涼…」 涼に話かけた瞬間、 視界に何かが横切った。 そして、それは 一真の足首に噛み付いた。 「痛っ!」 一真は咄嗟に足を降って それを追い払う。 噛まれた足をかばいながら ふと見るとそこには柴犬がいた。 「なんだよこの犬!」 柴犬は歯を抜き出しにして 威嚇してきた。 「わりぃ…拾ってきた」 涼はそういうと柴犬を 持ち上げた。 「どうだ?可愛いだろ」
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