動き出した野心

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静かに筆を置くと呟いた。 「戻ったか…」 天井裏から即座に 返事が返ってくる。 「はっ…」 天井裏にいるのは松平家に 仕える服部半蔵と言う忍だった。 元康の表情は次第に 険しくなる。 「どうであった…?」 少し間を置いて 天井裏から再び声が聞こえた。 「すべて万全なり…」 その言葉に元康は 少し口元が緩んだ。 (いや…まだ油断はできぬ…) 気を引き締めると 険しい表情に戻り 口を開いた。 「大義であった。後は任せたぞ、半蔵よ」 「御意」 半蔵は返事を返すと 早々と去っていった。
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