166人が本棚に入れています
本棚に追加
静かに筆を置くと呟いた。
「戻ったか…」
天井裏から即座に
返事が返ってくる。
「はっ…」
天井裏にいるのは松平家に
仕える服部半蔵と言う忍だった。
元康の表情は次第に
険しくなる。
「どうであった…?」
少し間を置いて
天井裏から再び声が聞こえた。
「すべて万全なり…」
その言葉に元康は
少し口元が緩んだ。
(いや…まだ油断はできぬ…)
気を引き締めると
険しい表情に戻り
口を開いた。
「大義であった。後は任せたぞ、半蔵よ」
「御意」
半蔵は返事を返すと
早々と去っていった。
最初のコメントを投稿しよう!