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岡崎城の外は漆黒の闇が
辺りを支配している。
月は雲で隠れ、松明がないと
足元も見えない程だ。
今川兵は交代で見張りを
続けていた。
城門の門番をしている
今川兵は眠たそうに
瞼(まぶた)を
擦っていた。
「交代の奴はまだ来ないのか?」
「あぁ。そろそろ時間なんだけどな…」
と話をしている今川兵に
近づく黒い影。
そして…
「う゛…」
「あ゛…」
と言葉にならない声を出すと
力なくその場に倒れた。
それを見下ろすように
佇(たたず)む人影。
黒い衣に身を包んだ彼らは
半蔵の部下の者だった。
「北門制圧…」
ふと見張り台を見ると
仲間の忍が今川兵を
始末している最中だった。
それを見た忍は、
「闇の中は我々の十八番だな…」
と呟いた。
その後、
死体の着ていた甲冑を外し
それを着ると今川兵を装って
城門の門番に付いたのだった。
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